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​専科授業

特徴ある専科授業

専科授業には、「オイリュトミー」「外国語」「手の仕事」「水彩」「粘土」「音楽」「木工」「書道」「運動遊び・体育」があります。手や体を動かし美しいものに触れることで心が動きます。そして動きを通して学ぶことで人と共に行動することを喜ぶ人間を育てます。

オイリュトミー

「美しいリズム」という意味のギリシア語に由来し、シュタイナー教育の柱として全学年の必須科目となっています。言葉や音楽は、人と世界を繋ぐ大切な架け橋。その響きには、心や体を活気づける力が満ちています。
オイリュトミーを通して、記号としての冷たい言葉ではなく、いのち溢れる言葉を、全身に響かせ、頭・心・体、まるごと用いて動き、手足を通して考えてゆくことができます。子どもたちのオイリュトミーでは、発達段階に応じた内容で、日本語のリズムと美しさを生かし、楽しく言葉を味わえるように工夫しています。
学年が上がるにつれ、幾何学図形など、法則を認識し、思考を高める練習も取り入れます。

外国語

外国語を学ぶ体験は、異なるものとの出会いです。

想像してみてください。もし英語で歌を歌えたら、何か楽しいと思いませんか? もし、英詩を朗々と諳んじることができたら、どこかいつもと違う自分を感じることでしょう。

英語の授業では、子どもたちは異なる言語との出会いを喜びその世界に交わってゆきます。そして、ゆっくりと違いを理解しながら、少しずつそれを整理して自分の中に取り込んでゆきます。

外国語を学ぶとき、必ず日本、そして日本語への新たな気づきが起こります。他を知ることは己を知ることにも繋がっているのです。

手の仕事

編み物や刺繍、人形作りなど、子どもたちの成長に合わせた題材に取り組みます。間違えたらやり直し、時間をかけて取り組む中で、より美しいものを求める心や強い意志の力を育てます。よく働く手を持つことは、後の柔軟な思考や創造力の土台となっていきます。

水彩

私たちが生きるこの世界は、色彩に満ちています。日の出から日没まで、刻々と空の色が変わるように、全ての色彩は止まることなく、生き生きと変化していきます。

低学年の子ども達は、教師のお話に耳を傾けながら、濡らした紙の上で、色がその色らしく振る舞い、色と色が出会い、戯れる姿を、共感を持って見つめています。
低学年の間は、具体的な形を描くことはありません。ただ純粋に色に没頭し、色を生きる体験を重ねていくのです。

学年が上がるにつれ、徐々に色から形が浮かび上がり、創世記や動物学、植物学といった、エポックに沿った課題を描くことで、それらの本質をつかみます。
高学年から中等部の子ども達は、白黒線描で光と闇の相剋を味わい、層技法によって一層ごとに色が輝いていく過程を、静かな驚きを持って迎えます。思春期に立つ子ども達の揺れ動く心身を支えるべく、このような学びが用意されています。

こうした生命感あふれる色彩体験の積み重ねが、子ども達の内面を豊かに耕し、他者との出会い、世界との出会いを、喜びを持って迎えられることを願っています。
 

​粘土

石ころ、ドングリ、羊毛、貝、葉っぱ、虫・・・・なんと世界は様々な形を持っているのでしよう。子どもたちは物を触り世界を知ってゆきます。

粘土の授業は大地からいただいた湿った土を使います。形を作るプロセスは大昔の天地創造の秘密に迫るようです。

低学年は手の中から球体を作り、そこから植物、動物、人間が生まれるのを体験します。

高学年になると、ギリシャのラビリンス、頭柱、プラトン立体、アルキメデス立体など、形態の規則性やおもしろさを発見してゆきます。全てはエポック授業と繋がり、学びが深まるのです。
形態の美しさと、自分と他者の質の違いを制作を通して理解するようになります。世界に存在する「いのち」の尊さを受け止めてゆきます。

音楽

音楽は動きと共にあります。小鳥になり、風になり、ちょうちょになって歌っていると嬉しい気持ちが音楽と結びついていきます。まだ宙に漂っているような低学年では、ペンタトニック(五音階)の雰囲気を大切にしています。
私たちは子どもたちが安心できる環境で大らかにしっかり呼吸できるように心を配っています。決してあせらずにその子のペースで笛やさまざまな楽器を扱えるように見守っています。
9歳前後、自分と他者の境界を認識するようになった子どもたちは、異なる旋律が混じり合った美しさを感じることができるようになります。斉唱の曲を習っても、自分たちでカノンにしたり、二部をつけたりし始めます。このように、一人ではできないことも友だちと共に作り出せる、ということも学んでいきます。
そしてさらに学年が上がるともっと複雑な旋律や、三部・四部の合唱・合奏に挑戦しようとします。子どもたちは音楽の中に自分の思いを表すことのできる不思議な力が宿っていることを感じているようです。

木工

木工の授業は、まだ瑞々しい丸太の木を切り、割るところから始まります。切ると現れる断面”木口”の表情や樹皮の繊維の流れを頼りに、木の”真ん中”を探します。
真ん中に合わせてマレットで手斧を打ち込み続けていくと、ある時ピリピリ、ミリミリと音をたてはじめ、あとは自ずから木が半分に割れていきます。

こどもたちは授業で多くの道具と出会います。それぞれの役割を知り、繰り返し繰り返し使うことで、道具が自分の身体の一部になったような感覚を得ることがあるでしょう。
自分の身体の動きと、動きから生まれる力を、的確に道具に伝え、道具と自分の力がひとつになった時、対象の素材へ大きな働きや変化を生むことを体験します。

鋸、手斧、鑿や彫刻刀、鉋などを使って、どんどんと変化する素材を、目で見ること、音を聞くこと、手触りや香り、さまざまな感覚を通してゆっくりと味わっていきます。

書道

筆で字を書く。それは一つ一つの線を大切にして文字になっていく様子を見つめる時間。だから慌てずゆっくり、何処に向かって進むのかを確かめながら書いていきます。
偏ちゃんと旁くんが居心地良くいられるように全体を見つめていきます。
そして摺った墨で書くのは勿論ですが時々色でも書きます。
最初は一文字から。学年が進むと二文字に。そして片仮名や良寛さんの体験をすることも。高学年では小筆で繊細に短歌を書いたり、条幅(掛け軸の大きさ)に大胆に大きな文字を書くこともしています。

​体育

近くの公園に出かけ、ポートボール(バスケットボールに似た球技)をしています。用意されたコートはないので、自分たちでコートをつくることから始めています。

高学年になって初めて勝ち負けのある球技をすることになりますが、こどもたちは勝っても負けても仲間と動くことそのものを楽しみ、相手チームのファインプレーにも拍手し歓声をあげています。同時にまた接戦になることを楽しみ、双方の力の拮抗するようなゲームに充実感も味わっているようです。

運動遊びの世界で培った動く喜びを土台に、こどもたちは今日も砂埃のなかで静かな闘志を燃やし続けています。

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